60代から、投資で老後資金は作れるか
先日、同い年の友人に「今からでも、投資で老後のお金は増やせるのかしら」と聞かれました。わたしは投資をはじめて8年になりますが、この問いには、いつも少し言葉に詰まります。
「作れますよ」と言い切るのは、かんたんすぎる気がします。でも「無理です」と突き放すのも、ちがう気がするのです。
だから今日は、わたしなりの答えを書いてみます。先に結論を言うと、いくつかの条件がそろえば、可能性はあると思います。ただ、誰にでもおすすめできることではありません。
60代から投資で老後資金を、と考えるなら、わたしはまず次の5つがそろっているかを見ます。
ひとつ目は、元本です。少額からでも始められますが、ほんとうに老後の支えにしたいなら、ある程度の元手がいります。月に数千円の積み立てだけで大きな資金を、というのは、やはりむずかしいと感じています。
ふたつ目は、余裕資金かどうかです。これがいちばん大事だと思っています。生活に使うお金、近いうちに必要になるお金には、絶対に手をつけません。なくなっても暮らしが揺らがないお金。それだけで投資をする。60代は、減ったお金を働いて取り戻す時間が、若い人より短いからです。
3つ目は、知識です。何を買っているのか、自分の言葉で説明できること。よくわからないものに大きなお金を入れるのは、投資ではなく賭けごとに近いと思います。
4つ目は、精神的な強さです。買ったものが半分になっても、あわてて投げ売りしないでいられるか。これは、実際に値下がりを経験してみないと、自分でもわからない部分です。
5つ目は、相場のタイミングです。これだけは、自分の力だけではどうにもなりません。運やめぐり合わせの要素が、たしかにあります。
ここからは、わたし自身の話です。あくまで一人の例として読んでください。
わたしは8年前、ほんの少額から始めました。こわかったので、なくなっても泣かない金額からです。
それでも、始めて少ししたころに年末の暴落が来て、増えていたお金がみるみる減り、気づけば資産の3分の1が消えていました。あのときは、夜もよく眠れませんでした。
そこでわたしが決めたのは、あわてて全部売らないこと、そして「次に同じことが起きたとき、どう動くか」を勉強しておくことでした。相場が大きく動く場面を、ただこわがるのではなく、自分なりに読めるようになりたいと思ったのです。
本を読み、過去の相場を調べ、自分なりのルールを少しずつ作りました。そして、何もせずに待つ時間が、思っていたよりずっと長く続きました。
数年たって、また相場が大きく動く場面が来ました。そのとき、準備していた通りに、わたしは静かに動きました。減らした分は、時間をかけて、なんとか取り戻すことができました。
派手な話ではありません。むしろ、待っていた時間のほうが、ずっと長かったのです。
60代から老後資金を作れるか。わたしの答えは、「余裕資金で、勉強して、あわてずに待てる人なら、可能性はある」です。
でも、これはあくまでわたしのルールです。人にすすめるものではありません。同じことをしても、同じ結果になるとはかぎりませんし、わたしにも、たまたまだった部分があると思っています。
もし今から始めようと思う方がいたら、ひとつだけ。なくなっても暮らしが揺らがないお金で、小さく始めてみてください。それが、わたしがいちばん伝えたいことです。
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